今日は亀山御坊、楽市楽座。レコードは間に合いませんでした。ドジョウもなしで、基本的に絵だけ販売しています。是非おこしください。

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明日は亀山御坊、楽市楽座です。

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写真は前回のドジョウすくい。


 東大寺の神輿、東寺の若宮より帰座の時、源氏の公卿参られけるに、この殿、大将にて先を追はれけるを、土御門相国、「社頭にて、警蹕いかが侍るべからん」と申されければ、「随身の振舞は、兵杖の家が知る事に候」とばかり答へ給ひけり。

 さて、後に仰せられけるは、「この相国、北山抄を見て、西宮の説をこそ知られざりけれ。眷属の悪鬼・悪神恐るる故に、神社にて、殊に先を追ふべき理あり」とぞ仰せられける。

-- 徒然草 196 --


 或人、久我縄手を通りけるに、小袖に大口着たる人、木造りの地蔵を田の中の水におし浸して、ねんごろに洗ひけり。心得難く見るほどに、狩衣の男二三人出で来て、「ここにおはしましけり」とて、この人を具して去にけり。久我内大臣殿にてぞおはしける。

 尋常におはしましける時は、神妙に、やんごとなき人にておはしけり。

-- 徒然草 195 --


 達人の、人を見る眼は、少しも誤る所あるべからず。

 例へば、或人の、世に虚言を構へ出して、人を謀る事あらんに、素直に、実と思ひて、言ふままに謀らるる人あり。余りに深く信を起して、なほ煩はしく、虚言を心得添ふる人あり。また、何としも思はで、心をつけぬ人あり。また、いささかおぼつかなく覚えて、頼むにもあらず、頼まずもあらで、案じゐたる人あり。また、実しくは覚えねども、人の言ふ事なれば、さもあらんとて止みぬる人もあり。また、さまざまに推し、心得たるよしして、賢げにうちうなづき、ほほ笑みてゐたれど、つやつや知らぬ人あり。また、推し出して、「あはれ、さるめり」と思ひながら、なほ、誤りもこそあれと怪しむ人あり。また、「異なるやうもなかかりけり」と、手を拍ちて笑ふ人あり。また、心得たれども、知るれりとも言うはず、おぼつかなからぬは、とかくの事なく、知らぬ人と同じやうにて過ぐる人あり。また、この虚言の本意を、初めより心得て、少しもあざむかず、構へ出したる人と同じ心になりて、力を合はする人あり。

 愚者の中の戯れだに、知りたる人の前にては、このさまざまの得たる所、詞にても、顔にても、隠れなく知られぬべし。まして、明らかならん人の、惑へる我等を見んこと、掌の上の物を見んが如し。但し、かやうの推し測りにて、仏法までをなずらへ言ふべきにはあらず。

-- 徒然草 194 --


今日は敬老の日です。

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写真は秋海棠。


 くらき人の、人を測りて、その智を知れりと思はん、さらに当るべからず。

 拙き人の、碁を打つ事ばかりにさとく、巧みなるは、賢き人の、この芸におろかなるを見て、己れが智に及ばずと定めて、万の道の匠、我が道を人の知らざるを見て、己れすぐれたりと思はん事、大きなる誤りなるべし。文字の法師、暗証の禅師、互ひに測りて、己れに如かずと思へる、共に当らず。

 己れが境界にあらざるものをば、争ふべからず、是非すべからず。

-- 徒然草 193 --


「夜に入りて、物の映えなし」といふ人、いと口をし。万のものの綺羅・飾り・色ふしも、夜のみこそめでたけれ。昼は、ことそぎ、およすけたる姿にてもありなん。夜は、きららかに、花やかなる装束、いとよし。人の気色も、夜の火影ぞ、よきはよく、物言ひたる声も、暗くて聞きたる、用意ある、心にくし。匂ひも、ものの音も、ただ、夜ぞひとときはめでたき。

 さして殊なる事なき夜、うち更けて参れる人の、清げなるさましたる、いとよし。若きどち、心止めて見る人は、時をも分かぬものなれば、殊に、うち解けぬべき折節ぞ、褻・晴なくひきつくろはまほしき。よき男の、日暮れてゆするし、女も、夜更くる程に、すべりつつ、鏡取りて、顔などつくろひて出づるこそ、をかしけれ。

-- 徒然草 191 --