阿弥陀仏と申さぬ人は淵の石、 劫 は 経 れども 浮 ぶ 世 ぞ 無 き。
-- 梁塵秘抄 494 --

南無阿弥陀
仏
の
御手 に
懸 くる
糸 の、
終
乱 れぬ
心 ともがな。
-- 梁塵秘抄 493 --

法華経の 薪 の 上 に 降 る 雪 は、 摩訶 曼荼羅 の花とこそ見れ。
-- 梁塵秘抄 492 --

さ 夜 更 けて 鬼人 らこそ 歩 くなれ、南無や帰依仏 南無 や帰依仏。
-- 梁塵秘抄 491 --

老 の 波 磯額 にぞ 寄 りにける、あはれ 恋 しき 若 の 浦 かな。
-- 梁塵秘抄 490 --

大江山 生野 の 道 の 遠 ければ、 未 だふみも 見 ず 天 の 橋立 。
-- 梁塵秘抄 489 --

夏草 の 繁 みに 食 むは 駒 かとよ、 鹿 とこそ 見 め 秋 の 野 ならば。
-- 梁塵秘抄 488 --

盃 と 鵜 の 喰 ふ 魚 と 女子 は、はうなきものものぞいざ 二人 寝 ん。
-- 梁塵秘抄 487 --

月 も 日 もいかに 嬉 しと 思 すらむ、 流 るる 星 の 位 まされば。
-- 梁塵秘抄 486 --

恋 しとよ 君 恋 しとよ 床 しとよ、 逢 はばや 見 ばや 見 ばや 見 えばや。
-- 梁塵秘抄 485 --

結
ぶにはなにはの
物
か
結
ばれぬ、
風
の
吹
くには
何
か
靡
かぬ。
-- 梁塵秘抄 484 --

山長
が
腰
に
差
いたる
葛鞭
、
思
はむ人の
腰
にささせむ。
-- 梁塵秘抄 483 --

いかで
麿
播磨
の
守
の
童
して、
飾磨
に染むる
搗
の
衣
着
む。
-- 梁塵秘抄 482 --

いざ寝(ね)なむ夜(よ)も明方(あけがた)に成(な)りにけり、鐘(かね)も打(う)つ、宵(よひ)より寝(ね)たるだにも、飽(あ)かぬ心を、や、如何(いか)にせむ。
-- 梁塵秘抄 481 --

立(た)つものは海に立つ波(なみ)群雀(むらすずめ)、播磨の赤穂(あかふ)が造(つく)れる腰刀(こしがたな)、一夜(ひとよ)宿世(すくせ)のあだ名とか。
-- 梁塵秘抄 480 --

我(わ)が君(きみ)を何に擬(よそ)へむ浦(うら)に住む亀山(かめやま)の、岩角(いはかど)に生(お)いたる松に擬(よそ)へむ。
-- 梁塵秘抄 479 --

此(こ)の殿(との)に好(よ)き筆柄(ふでづか)のあるものを、てここの富(とみ)をかき寄せる筆の軸(ぢく)のあるものを。
-- 梁塵秘抄 478 --

御前(おまへ)より打上(うちあ)げ打下(うちおろ)し越(こ)す波(なみ)は、官位昇進(つかさまさり)の重波(しきなみ)ぞ立(た)つ。
-- 梁塵秘抄 477 --

日暮(ひく)れなば岡(おか)の屋(や)にこそ、伏見(ふしみ)なめ、明けて渡らん櫃河(ひつかは)や櫃河(ひつかは)、櫃河(ひつかは)の橋(はし)。
-- 梁塵秘抄 476 --

淀河(よどかは)の底(そこ)の深(ふか)きに鮎(あゆ)の子(こ)の、鵜(う)と云(い)ふ鳥(とり)に背中(せなか)食(く)はれてきりきりめく可憐(いとを)しや。
-- 梁塵秘抄 475 --
