真の国語教育

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「真の国語教育とは、語義と語法の習得に留まる教育である」といったニュアンスのことを太田行蔵氏はその著書『国語教育の現状』の中で述べておられると恒存先生は言われます。以下、要約すると、「従来、無味乾燥で機械的なものとして卻けられてきた語義や語法の教育が、子供たちをして言葉に対する関心や語意識を深める真の教育となる。子供たちに芭蕉や芥川龍之介の文学的価値や作意を論じさせるなど無能怠惰な教師の行う無意味な教育である。語義や語法の教育を怠ったことが、現代仮名遣いという表音主義の浅はかな日本語の強制を成功させた」というような話となります。

 現代仮名遣いを国語として習ってきた私たちはもう旧仮名遣いを上手に使えないし、世間一般でも見かけることはほとんどありません。しかしせめて何らかの語がどういう経緯で出来たのかを知り、それにあまりに沿わない現代仮名遣いは旧仮名に戻すような事をしても良いのではないかと思います。例えば、「うなづく」は「うなじ」を「つく」が語源であるので「うなづく」に戻すとか、「いづも」は「出づ雲」であるので「いづも」に戻す等々、現代国語というものを習ってきた私たちでも気持ち悪く感じる言葉については何とかならないものかと、そんなことを思う今日この頃です。