ボーンコレクター 04-04
彼は驚き立ちすくんだ。そうか、ダイヤモンドは骨を原料に造るといっていた。ということは、そのダイヤモンド製造のためにこの研究所に陳列された数々の骨たちが犠牲になるということではないか。「しょ、所長は許可を出したのですか?」彼は少しどもりながら叫んだ。そして思わず出た言葉であったけれど、これはなかなかいい文句ではなかったかと考えた。そう、ホネカワ所長ならば、博士の暴挙をとめてくれるかもしれない。何せ所長は理想主義者だ。所長の第一の夢は骨角器時代の証明であるけれど、今一つ別の夢は、骨や角の美しさを人々に啓蒙することであったはずだ。ここに集められた美しい骨たちは、所長のその理想をいわば具現化したものではないか。「所長はきっと反対すると思います」彼は楼蘭の美少女を奪い返し、陳列台の上に置いた。事務長と専務は怒った。「所長はどうでもいいであろう?」「あの人の理想論だけで経営が成り立つと思うな」彼は二人を無視して、黙々と骨にハタキをかけだした。すると彼の背後から、「彼女の夢を見たくはないかい?」とスカル博士が声をかけた。「彼女の夢?」と彼はつい振り返った。スカル博士は我が意を得たりとニヤリと笑い、「昨日、キミは錠剤で小指の少女の記憶を見ただろう? それと同じようにその楼蘭の美少女の記憶も見ることが出来るよ」と言った。彼の目が思わず泳いだ。あの不思議な体験、骨の少女の記憶。三つのカプセルすべて飲んでしまって、もう終わったと思っていたけれど、あの世界にもう一度行けるとすると、ああ、それはなんと素晴らしいことではないか? そんな彼の心の動きを読んだかのようにスカル博士は続けて言った。「あれは試作品だった。しかしようやく完成したんだよ」