ボーンコレクター 04-02

「何、キミがダメ人間なんて、そんなことあるものか」と専務は高らかに笑った。そして、「まあ、たとえキミがダメ人間でも、たとえ人間のクズだとしても、これが研究所の方針だ。やってもらわねばならないよ」と事務長は強く宣言した。二人の鼻息の荒さを見て、彼も仕方ないと観念し、「でも、いったい何を販売するのですか?」と尋ねた。この研究所にあるものと言えば骨だけだ。あっちもこっちも骨、骨、骨。大量の骨だけがここにはある。まさか骨を売るわけではあるまい。そんなことを考えていると、専務と事務長の後ろから、今度は白衣の男が現れた。やたらに長いその顔を見て、「おや、どこかで見たような?」彼が首をひねっていると、「やあ、また会ったね」と男はさも親しげに声をかけてきた。「おや、知り合いかね?」と事務長は二人の顔を見比べた。白衣の男は、「ええ」と答えた。そして、「彼には昨夜、カルビを奢ってもらったのですよ」と笑った。ああ、思い出した。ションベン横丁の食い逃げ男だ。不思議な錠剤をみっつ残して去って行った、あの奇妙な男だ。彼がそう思い至ると、「彼は須軽怪奇男(すかるかいきお)博士。マッドサイエンティストとして世界に名をとどろかす、とても高名な科学者だ」と専務が傍らで紹介し、「スカル博士は骨を炭素化し、ダイヤモンドに変える技術を持っておられる。我々の方針としては、ここに陳列された骨をダイヤモンドに変えてもらい、それをキミが宝石商に持って行ってお金に換えて戻ってくる、と今後はこの流れでいく」と事務長が付け加えた。ダイヤを宝石商に持って行く? それくらいのお使いなら犬でも出来そうだ。自分の営業能力を犬程度であると評価する彼は、そう思い至ってようやく少し安堵した。