ボーンコレクター 03-06

 その老婆はやけに背が低くアンバランスな格好をしていた。ボーンコレクターが不思議に思って見てみると、どうやら下半身が地面に埋まっているようであった。「お婆さん、どうして地面に身体を埋めているんだ?」と彼は尋ねた。「余計なお世話じゃ」と老婆は答え、さっさと奥へ入ろうとした。彼は慌てて戸をつかみ、「待ってくれ、お婆さん。鬼の心臓はどこにあるのか、ボクたちはそれを知りたいだけなんだ」と言った。老婆はギロリと彼を睨み、それから少女を一瞥し、ふふんと鼻で笑った。「さてはお前さん死人だね。鬼の心臓で生き返ろうという寸法かい?」少女はコクリと頷いて言った。「そうです、おばあ様。私たちに鬼の心臓のありかを教えてください」老婆は、「さてさて」と顎に手を当て、「鬼の名前はマラーハス。鼻水から生まれた少年を従えカワウソを求めてさまよっているよ」と言ったあと、急に歯をぬっと剥きだして、「ははあ、しかしやめておけ。お前たち、カワウソにたぶらかされて来たんじゃろう?」と笑った。そして、「カワウソは鬼を恐れてお前たちに殺させようとしただけじゃ。何せマラーハスはカワウソをつけ狙っておるからな」と言ったあと、「そもそも鬼の心臓などで生き返ろうとするのは剣呑。確かに身体は戻るかもしれんが、そのうちお主、鬼に変化してしまうぞ」と続けた。「では、どうすれば私は生き返ることができるのでしょうか?」と少女は老婆の前にしゃがんだ。「そうじゃのう?」と老婆は少女をちらりと見て、「お前のその南方系の豊潤な果実のような下半身をワシにくれるというなら、教えてやっても良いがのう?」と舐めるような目つきでスカートの中を覗きこんだ。「それは」と少女はスカートを押さえて絶句した。