アングラ劇『犬神ぢごく変』 14-02

村長「お前の見たい景色を、ワシら村の者が見せてやろうというのじゃ」
申秀「まことか?」
村長「嘘を言ってどうする。お前にきっと見せてやろう」
申秀「おお、それは有難い。いま矢立を用意するゆえしばし待て」
村長「おうおう、矢立でも筆でも準備せよ。ワシは待っておろう」
弟子「村長。師匠にそんな期待をさせて大丈夫ですか?」
弟子「師匠は期待外れだと思うと今度は村長に何をするか知れたものではございません」
村長「ああ、心配には及ばぬ。いや、たぶん、大丈夫であろうと思う。うむ、大丈夫。何、あの地獄でも駄目だとあらば、次はあの巫女殿を生贄としてさしだせば良い。よもやワシにまで危害は及ぶまいよ」
弟子「何をブツブツいっているんです」?」
村長「いや、なにほんの内緒ごとじゃ」
申秀「さあ、村長。準備が整った。どんな地獄が待ち受けておるのか、楽しみにしておるぞ」