1990-2000 ロンドン 02
これはアメリカジャズの一〇〇年の旅。ルイ・アームストロングが誕生してから、帝王マイルスが死ぬまでの年月と、マイルスが死んだ後の約一〇年を見たところで物語はおしまい。ニューオリンズからニューヨーク、ロンドンってね。これはグローバル化なのかな。あるいは均一化? 新しい潮流としての大きなジャズはもう必要なくて、これからは個々がそれぞれ小さく独自のジャンルを確立して、そのスタイルを展開する時代が来たんだ、という人もいるよ。リオタールの言うポストモダンの到来だね。だけど世の中まだまだ、わかりゃしない。マイルスの死によってもっとも新しいジャズの潮流はロンドンに移ったけれど、ベルリン、神戸、東京、パリ、アムステルダム等々、あちこちに飛び火したジャズの末裔はまた新しく変化するかも知れないし、簡単に大きな物語の終焉と切り捨てられないよね。そういえばフュージョン以降のジャズマンと言えば、ロックとの融合が進んだためか、サックスやトランペットより弦楽器奏者の名前をたくさん聞くようになった気がするね。パット・メセニーとかジャコ・パストリアスとか。ジャコ・パストリアスは酔っぱらって殴られて死んじゃうけれど、まあそうならないよう気をつけなくちゃね。ともかくジャズ楽器の中心も管楽器系からギターやベースに移行して、そうすると今度はまたスカ系の音楽が盛り上がって、と。ともかく歴史ってのは面白いよ。何かが進んでいるようで、繰り返しのようで、盛り上がっては廃れていき、また新しい流れが生まれて。さてさて、これからどうなっていくのか、それは未来のお楽しみだね。