ボーンコレクター 02-07

 木の一族はツリーハウスに暮らし、蔦でお互い行き来するので地面に降りることはまれだった。木の実も多く採れたし、雨水を溜める壺にはいつも澄んだ水がなみなみとあふれていた。木の上の暮らしは快適で風も心地よかった。ところがある時、そこに大きな王が来た。王は木の上よりも背が高く、不気味に飛び出した目で家々の中を覗き込んだ。そして一人の娘が気に入ったので、つまんで口に放り込んだ。そしてそのまま横になり、深い眠りについた。木の一族は若者数人を木から降ろし、王の口に潜り込ませて娘を助けだそうとした。若者たちは王の口が開くのを待ち、中に踏み込んで行った。しかし結局誰も戻っては来なかった。若者たちのうち二人の兄弟は王の口に入らず姿をくらませた。そして皆がもう娘を諦めるより仕方ないと思い始めた頃、それぞれ嫁を連れて帰ってきた。兄の嫁はハツカネズミだった。弟の嫁は小さくて不気味で誰も正面から顔を見られない生き物だった。それぞれの嫁は王を見るなり行動を開始した。ハツカネズミはハマグリの殻を海岸から集めてきて、それをうずたかく積み上げた。王はその気配に目を覚まし、ハマグリの殻に目を奪われ、飛び出た目玉でそれを食べようとした。そこに弟の嫁が飛び出して、王の目の前に立った。王は嫁のあまりの不気味さに驚きのけぞって、倒れた。王の身体が二つに割れ、中からワシの羽根が飛び散った。そして食べられた娘が腹の中から生きて帰ってきた。そして娘は子を産んだ。娘の生んだ子は目が飛び出ていた。村人たちは雲でゆりかごを作り、その子供を木の上に広がる青い空に浮かべた。