ボーンコレクター 02-08
ある時、村に黒血病が流行り老婆と孫のみが生き残った。老婆は孫のために髪の毛を結んで釣り糸を作り、毛玉を餌にして海に放り込んで、大きな金塊を吊り上げた。この金が魔除けとなって、孫は立派な猟師に育ち、祖母は孫の捕まえた獣で干し肉をつくり、毛皮で衣服を縫った。孫は毛皮を身に着けて、干し肉を腰からぶら下げて旅に出たが、その旅先で別の部族に会った。孫はそこで踊りを披露し、唄を謡って見せると村の首長は瞬く間に彼に惚れ込んで、娘を彼に与えた。彼は娘のお返しに金を削って首長に渡し、この村は金の一族となった。若者はその後も旅を繰り返し、金を削って娘をもらってまわったので、多くの子供に恵まれた。ほとんどの首長は娘を金と交換し若者に与えたが、ある部族の首長だけが娘と金の交換を拒んだ。若者はどうしてもこの娘が欲しいと思い、奴隷に娘をさらってくるように命じた。奴隷は夜の闇にまぎれて首長の屋敷に忍び込み、娘をさらおうとしたところ、娘は奴隷を若者だと勘違いし、結ばれてしまった。首長は仕方なく奴隷を婿にむかえたが、若者はひどく怒って奴隷を石投げ器で打ち倒し、海に放り込んで、頭を上げるたびに胃袋の飛び出す赤カサゴに変えたので、内と外が裏返しになる奇妙な魚が生まれた。若者はそれから娘を海に連れ出して、青腹という美しいカサゴに変えた。娘は姫であったので魚のうちでもっとも華麗なフランブルーに変えたのである。魚たちは時々裏返り、金になったり女になったり男になったり魚になったり、気の向くままに暮らした。首長は娘と婿を探すことを諦め、若者から金をもらった。