ボーンコレクター 02-04
ある時、火の一族のもとに一人の旅人が来た。彼は奇妙な体臭とガラガラ音のする衣服をまとっていたので村の者は嫌った。音や体臭が鮭を驚かせ、食料に困ることになると思ったからである。旅人は村には入れてもらえず、村の囲いの外にある一番遠い火の鳥の像の下で暮らすことになった。ところがこの旅人は村の人々の意に反して、すこぶる漁がうまかった。毎日何匹もの鮭を獲り、たちまち裕福になった。村の長老は考えた。この若者を村の外に置いたのは間違いであった。村の娘と結婚させて仲間にしよう。そうして選ばれた娘は、村一番の怠け者であった。娘は奴隷二人を従えて若者のもとに赴き、猪の肉を贈った。若者はお返しに鮭を大きな笊に積み上げ、村人たちにふるまった。婚礼は成立し、旅人は村に迎え入れられ、長老の屋敷のすぐそばに一軒の家を与えられた。旅人はそこで犬を飼い、毎日犬と共に狩りにでかけるようになった。ある時、狩りの途中で大雨になった。火の山の火が消えてしまうのではないかというほどの大雨だった。若者と犬は狩りをやめ、大急ぎで家に帰った。すると家に数人の人の気配がする。不思議に思ってそうっと蔭からのぞいてみると、長老をはじめ村人たちが、妻の衣服をはぎ取ってみだらな行為にふけっている。それを見て犬はキュンと悲し気に鳴き、大雨の中どこかに駆け去っていった。若者は驚き、犬を追いかけて滝つぼに行った。すると滝を登ろうとする鮭がたくさんいるのが見えた。若者は急いで網を編み、滝の下にそれを吊るした。たくさんの鮭が網に落ちてきて、村にこれまでにないほどの大量の鮭がもたらされた。