ボーンコレクター 02-03

 気が付くと深い森の中で横になっていた。「どこに行っていたの?」と少女が上から彼の顔を覗き込むようにして尋ねた。「さあ、なんだかよくわからない場所に行っていたよ」彼はゆっくり起き上がり首を左右に振った。「そこはビョウビョウと強い風の吹く荒地でね。一本道のずっと向こうに、チカチカと街灯りが見えていてね。たぶんボクはかつてそんなところに住んでいたんだ」ボーンコレクターは首飾りの小指を撫でて、少女に微笑みかけた。「話の途中でいなくなるんだから、驚いたわ」少女は少しむくれて見せたがすぐに気を取り直して「それより、島の歴史のお話の授業、マヨの母が語ってくれて、また少し進んだから聞いてくれる?」そう言って、エヘンと咳払いをして語り始めた。

 島に食料が増えたお陰で人口も増えた。島の人々は裕福に暮らしていたけれど、やがて島民は五つの部族に別れていった。それぞれ五大元素を己の部族の名に掲げ、火の一族、水の一族、木の一族、金の一族、土の一族と呼ばれるようになった。火の一族は火山のふもとに集落をなし、火の鳥を守り神とした。水の一族は湖畔を住処とし、半神半魚の妖精を守り神とした。木の一族は深い森の木の上にツリーハウスを作って暮らし、漆黒の猿を守り神とした。金の一族は河原にバラックを建てて、そこで物と金を交換する生活を始め、黄金の豚を守り神とした。土の一族は穴を掘って地底都市をつくり、目のない土竜を守り神とした。それぞれの部族は仲良くすみわけを行って、自分たちのテリトリーにはそれぞれの部族を象徴する偶像を配置した。