1990-1920 ニューオリンズ 05
と、ここまではジャズの始まりを牽引してきたミュージシャンの話をしてきたけれど、今度はまずそもそも、なんでニューオリンズがそんなホットな街になったのか、いや、そもそもジャズはジャズになる前、どんな進化を遂げてきたのか、二十世紀が始まる前の、そんな話をしてみよう。
それはアメリカ大陸がスペインやフランスの統治下にあった頃のこと。奴隷制度は全盛で、アフリカから多くの黒人たちが労働力としてアメリカに連れてこられた。そこには悲しい話もいろいろあるだろうけれど今回はそれが主題じゃない。大切なのはこの連れてこられた黒人たちが音楽好きであった、ということなんだ。そしてこの音楽好きの黒人たちは、それまで白人文化にはなかったような、原始的なメロディやリズムを歌って楽しんでいたんだ。この黒人たちの音楽に、やがて白人社会から持ち込まれたブラスバンドの演奏が加わるようになって。黒人たちの歌はワークソングやゴスペルへと進化していったんだ。
十九世紀の中頃にクレオールと呼ばれる人たちがアメリカ大陸にぽつぽつと出始めたのもジャズの誕生に一役買ったね。というのは、このクレオールっていうのは白人と黒人の混血児なんだけれど、彼らは白人と同様の教育を受けることが出来てさ。西洋風の音楽理論も学ぶことが出来たわけ。クレオールのお陰で西洋風の音楽理論が黒人社会の中に溶け込んでいって。それでブルースが生まれ、ラグタイムが生まれ、そこからやがてジャズへと発展していったんだ。