ボーンコレクター 01-09

 そうするうちオホゲツヒメの店頭の饅頭が売り切れた。オホゲツヒメが皿を持って天幕に入ってきたので若者たちは慌ててテーブルの下に隠れた。オホゲツヒメはそのテーブルにお皿を置いて、籠から葉っぱを数枚取り出し、それを皿の上に並べた。

 その後の作業工程はテーブルの下の若者たちからは見えなかったが、饅頭づくりはすぐに終わったようで、一分も経たないうち、オホゲツヒメは饅頭を乗せた大皿を持って店頭に戻っていった。

「葉っぱを乗せていたようだぞ?」とテーブルの下から這い出しながら一人が言った。

「葉っぱが饅頭に変わったんだな」

 籠の葉っぱを一枚つまみ一人がそれを口に入れた。

「饅頭か?」

「いや、葉っぱだ」

 若者はぺっぺと吐き出して渋い顔で言った。

「調理方法に秘密があるようだな」と一人の若者が目を光らせた。

「よし、今度はテーブルの下でなく、天幕の外から中を覗いてやろう」

 若者たちは頷きあい、天幕の外に出た。そして少し隙間を開けて中の様子をうかがった。

 しばらくするとオホゲツヒメはまた空の大皿を持って天幕の中に入ってきた。そして籠から葉っぱを取り出し、皿の上に並べだした。

「さて、ここからだ」若者たちはごくりと固唾をのみ、オホゲツヒメの次の行動を待った。