ボーンコレクター 01-06
二日目の朝、少年少女は腹をすかして目を覚ました。急いで森の木に登り、椰子の実を落とし、マングローブの樹皮を剥ぎ、ドングリや果物を拾い集め、それを持ち寄って分け合って食べた。マヨの儀式に食事は出ない。原始には食物もなかったというのが長老たちの言い分で、なので儀式の期間中、村から食べ物を与えられることはないのである。空腹を満たしたあと、少年少女は椰子の葉や木の幹を拾ってそれぞれ小さな小屋を建てた。大抵の者は地面に木の枝で柱を建てて、椰子の葉で覆ってテントのように作るのだが、中にはマングローブの根をそのまま利用して住む者や、木の上に涼し気な小屋を作る者もいた。そしてそのあと広場に集まり、マヨの母が持ってきた書物で村の神話を学んだ。
マヨの神話はこの天地が出来るところから始まるが、それによると世界はどうやら巨大な卵として生まれ落ちたものらしい。ゴロンと転がった大きな卵が、強い太陽に照らされてポカポカと温まり、やがて殻を割って中から大きな塊が出てくる。生まれたばかりの大きな塊は何もない空間をズルズルと這って、やがてドボンと大きな海に落ち、そこにポカリと浮かぶ。そうしてそのまま長い年月をじっと黙って過ごしたので、背中に大きな椰子の木が生え、やがてマングローブの森もできた。
「この大地は大きな亀みたいなものよ」と、少女はマヨの母から習った神話をさも誇らしげに語る。「そうか。この大地は亀だったのか」と、彼も逆らわずに頷く。「そうよ。この大地は亀なのよ。だから時々、気が向いたとき、海の上を移動するのよ」