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今日は誕生日です。

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ムギわんこ、田んぼで番犬!


雪が凍っているところがあって、滑って転びそうでした。皆様もお気をつけて。


「牛を売る者あり。買ふ人、明日、その値をやりて、牛を取らんといふ。夜の間に牛死ぬ。買はんとする人に利あり。売らんとする人に損あり」と語る人あり。

これを聞きて、かたへなる者の云はく、「牛の主、まことに損あるといへども、また、大きなる利あり。その故は、生あるもの、死の近き事を知らざる事、牛、既にしかなり。人、また同じ。はからざるに牛は死し、はからざるに主は存ぜり。一日の命、万金よりも重し。牛の値、鵞毛よりも軽し。万金を得て一銭を失はん人、損ありといふべからず」と言ふに、皆嘲りて、「その理は、牛の主に限るべからず」と言ふ。

また云はく、「されば、人、死を憎まば、生を愛すべし。存命の喜び、日々に楽しまざらんや。愚かなる人、この楽しびを忘れて、いたづがはしく外の楽しびを求め、この財を忘れて、危く他の財を貪るには、志満つ事なし。生ける間生を楽しまずして、死に臨みて死を怖れば、この理あるべからず。人皆生を楽しまざるは、死を恐れざる故なり。死を恐れざるにはあらず、死の近き事を忘るるなり。もしまた、生死の相にあづからずといはば、実の理を得たりといふべし」と言ふに、人、いよいよ嘲る。

-- 徒然草 093 --

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赤舌日といふ事、陰陽道には沙汰なき事なり。昔の人、これを忌まず。この比、何者の言ひ出でて忌み始めけるにか、この日ある事、末とほらずと言ひて、その日言ひたりしこと、したりしことかなはず、得たりし物は失ひつ、企てたりし事成らずといふ、愚かなり。吉日を撰びてなしたるわざの末とほらぬを数へて見んも、また等しかるべし。

その故は、無常変易の境、ありと見るものも存ぜず。始めある事も終りなし。志は遂げず。望みは絶えず。人の心不定なり。物皆幻化なり。何事か暫くも住する。この理を知らざるなり。「吉日に悪をなすに、必ず凶なり。悪日に善を行ふに、必ず吉なり」と言へり。吉凶は、人によりて、日によらず。

-- 徒然草 091 --

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大納言法印の召使ひし乙鶴丸、やすら殿といふ者を知りて、常に行き通ひしに、或時出でて帰り来たるを、法印、「いづくへ行きつるぞ」と問ひしかば、「やすら殿のがり罷りて候ふ」と言ふ。「そのやすら殿は、男か法師か」とまた問はれて、袖掻き合せて、「いかが候ふらん。頭をば見候はず」と答へ申しき。

などか、頭ばかりの見えざりけん。

-- 徒然草 090 --

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「奥山に、猫またといふものありて、人を食ふなる」と人の言ひけるに、「山ならねども、これらにも、猫の経上りて、猫またに成りて、人とる事はあンなるものを」と言ふ者ありけるを、何阿弥陀仏とかや、連歌しける法師の、行願寺の辺にありけるが聞きて、独り歩かん身は心すべきことにこそと思ひける比しも、或所にて夜更くるまで連歌して、ただ独り帰りけるに、小川の端にて、音に聞きし猫また、あやまたず、足許へふと寄り来て、やがてかみつくままに、頸のほどを食はんとす。肝心も失せて、防かんとするに力もなく、足も立たず、小川に転び入りて、「助けよや、猫またよや猫またよや」と叫べば、家々より、松どもともして走り寄りて見れば、このわたりに見知れる僧なり。「こは如何に」とて、川の中より抱き起したれば、連歌の賭物取りて、扇・小箱など懐に持ちたりけるも、水に入りぬ。稀有にして助かりたるさまにて、這う這う家に入りにけり。

飼ひける犬の、暗けれど、主を知りて、飛び付きたりけるとぞ。

-- 徒然草 089 --

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