覇者の夜明け

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先にいたのは、風に乗るだけの無粋なトンビどもだ。 一喝して追い払い、この特等席を奪い返す。 この枯れ木の枝先から見下ろす世界こそが、我々の正義。

東の空から、不気味なほど鮮やかな黄金が漏れ出してきた。 人間どもが「尾流雲」と呼び、有り難がって眺める光のカーテン。 だが、我々にとってそれは、今日という戦場を照らす単なる照明に過ぎない。

黒い羽を整え、眼下の墓地を眺める。 いつもの奴らがやってきて、動かない石の塊の前で頭を垂れている。

人間は何を祈っている? 失った過去か、見えない未来か。 我々には、今、この瞬間の支配権以外に興味はない。

朝焼けが黒い翼を金に染め上げるが、魂まで染まりはしない。 今日もこの場所を、この風を、この光を、我々が統治する。

奴らが去る。 それが、我々の「今日」という幕開けの合図だ。