司馬遼太郎メモリアル・デー in 姫路文学館

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――澤田瞳子さん講演「歴史小説とはなにか」

先日、姫路文学館で開催された「司馬遼太郎メモリアル・デー」に参加してきました。

多くの来場者でにぎわい、私が到着した時には、すでに駐車場は満車。開始の一時間以上も前からこの熱気。司馬遼太郎ファン、歴史好き、そして澤田瞳子さんの読者の方々が集まっているのが伝わってきました。

今回の特別講演は、直木賞作家の澤田瞳子さんによる「歴史小説とはなにか」。
静かな講堂に、真摯な語り口が響き渡り、歴史小説の奥深さをあらためて感じるひとときとなりました。

とくに印象的だったのは、「歴史小説」と「時代小説」のせめぎあいについて。
歴史的事実を踏まえつつ、そこにどれだけ作家の想像力を加えるか。記録に残る史実と、残されていない「人の声」との間で、物語をどう紡ぐか。澤田さんならではの視点と葛藤が率直に語られ、会場の多くの方が深くうなずいていました。

さらに、歴史人物像の変遷についての話も印象的でした。
時代によって人物の評価や描かれ方が変わっていく――まさに「歴史とは常に"今"からの視点で語られるもの」。
その言葉には、司馬遼太郎作品の本質にも通じるものがあるように感じました。

講演のあとは、姫路文学館の展示や、来場者同士の会話も楽しみながら、文学と歴史にたっぷり浸った一日となりました。

作家の言葉にふれ、時をこえて人間の営みに思いを馳せる――
そんな贅沢な時間を過ごせたことに、心から感謝です。