第百四十三段 人の終焉の有様のいみじかりし事など

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人の終焉の有様のいみじかりし事など、人の語るを聞くに、ただ、静かにして乱れずと言はば心にくかるべきを、愚かなる人は、あやしく、異なる相を語りつけ、言ひし言葉も振舞も、己れが好む方に誉めなすこそ、その人の日来の本意にもあらずやと覚ゆれ。

この大事は、権化の人も定むべからず。博学の士も測るべからず。己れ違う所なくは、人の見聞くにはよるべからず。

-- 徒然草 143 --

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