惟継中納言は、風月の才に富める人なり。一生精進にて、読経うちして、寺法師の円伊僧正と同宿して侍りけるに、文保に三井寺焼かれし時、坊主にあひて、「御坊をば寺法師とこそ申しつれど、寺は」なければ、今よりは法師とこそ申さめ」と言はれけり。いみじき秀句なりけり。
-- 徒然草 086 --
KOMUSUI ICHIZA KAMISHIBAI
惟継中納言は、風月の才に富める人なり。一生精進にて、読経うちして、寺法師の円伊僧正と同宿して侍りけるに、文保に三井寺焼かれし時、坊主にあひて、「御坊をば寺法師とこそ申しつれど、寺は」なければ、今よりは法師とこそ申さめ」と言はれけり。いみじき秀句なりけり。
-- 徒然草 086 --