万にいみじくとも、色好まざらん男は、いとさうざうしく、玉の巵の当なき心地ぞすべき。
露霜にしほたれて、所定めずまどひ歩き、親の諫め、世の誹りをつつむに心の暇なく、あふさきるさに思ひ乱れ、さるは、独り寝がちに、まどろむ夜なきこそをかしけれ。
さりとて、ひたすらたはれたる方にはあらで、女にたやすからず思はれんこそ、あらまほしかるべきわざなれ。
-- 徒然草 003 --
KOMUSUI ICHIZA KAMISHIBAI
万にいみじくとも、色好まざらん男は、いとさうざうしく、玉の巵の当なき心地ぞすべき。
露霜にしほたれて、所定めずまどひ歩き、親の諫め、世の誹りをつつむに心の暇なく、あふさきるさに思ひ乱れ、さるは、独り寝がちに、まどろむ夜なきこそをかしけれ。
さりとて、ひたすらたはれたる方にはあらで、女にたやすからず思はれんこそ、あらまほしかるべきわざなれ。
-- 徒然草 003 --