第二段 いにしへのひじりの御代の政をも忘れ

  • 投稿日:
  • by
  • カテゴリ:

いにしへのひじりの御代の政をも忘れ、民の愁、国のそこなはるるをも知らず、万にきよらを尽していみじと思ひ、所せきさましたる人こそ、うたて、思ふところなく見ゆれ。

「衣冠より馬・車にいたるまで、あるにしたがひて用ゐよ。美麗を求むる事なかれ」とぞ、九条殿の遺誡にも侍る。順徳院の、禁中の事ども書かせ給へるにも、「おほやけの奉り物は、おろそかなるをもッてよしとす」とこそ侍れ。

-- 徒然草 002 --

IMG_2127.jpg