日本史01-02

  • 投稿日:
  • by
  • カテゴリ:

日本史の教科書で見ると、人類は猿人、原人、旧人、新人の順番で出現したと言われている。

日本列島で発見された化石人骨はすべて新人段階のものである。

(日本列島は火山列島の酸性土壌なので人骨や獣骨が化石となって残る例は少ない。以下はそんな中、かろうじて残っていた新石器時代以前の人骨化石である)浜北人-静岡(約1万4千年から1万8千年前)、港川人-沖縄(約2万2千年前)、山下町洞人-沖縄(約3万2千年前)、等々。(明石人はかつて明石原人であると言われていたが新人であることが判明したとのこと)

ちなみに日本列島のナウマンゾウは約2万年前に絶滅したとされる。その化石と共に旧石器時代の石器や骨器が発見されているので、2万年前の縄文人はナウマンゾウなどを狩って食べていたことが伺われる。

日本人がどこから来たのかはきっちり断定できないが、港川人は南方系とされ、日本列島の後期旧石器人の縄文人は南アジアから来たという説が有力である。ただし文化の面では北方系の要素も強く認められる。

「日本人はアジア大陸に古くから住んでいた人々の子孫(縄文人)と、もともとは北アジアに住んでいて弥生時代以降に渡来した人々の混血によって形成されたと考えられる」と教科書には書いてある。

このアジア大陸に古くから住んでいた人々とは、「アルタイ語族」を念頭に置いて書かれたものであろう。下の注釈にもアルタイ語系の言葉が見える。「アジア人は数万年前にアフリカから出た東南アジア人と3から2万年前に北アジアの寒冷な気候に適応した北東アジア人にわけられる。日本語の語法はアルタイ語系に属する。」云々。しかしアジアの人々の共通の祖先、アルタイ語族の仮説は1960年代まで一世風靡していたが、現在の言語学会では一般に認められていないものとなっている。教科書がその古い仮説の一つの概念「アルタイ語系」で日本人の祖先を縛ろうとするので諸所にひずみができてくる。地質学で否定されても、氷河期にはどうしても陸続きにならなければいけないし、日本人の祖先は大陸から歩いて渡ってこなければならなくなる。舟が許せなくなるわけである。

言語に関して言うなれば、「日本語」は同系統言語の存在が証明されていない「孤立した言語」というのが実際のところであろう。他の言語と部分的には似ているところもあるが、日本語は孤立した言語なのである。アルタイ語系を載せるのであらば、朝鮮語同系説、オーストロネシア同型説、ドラヴィダ語族タミル語説など他の仮説も同じ俎上に乗せて紹介するのが教科書としての正しい姿勢ではないであろうか。

日本列島と日本人の最後の行は「北海道のアイヌの人々や沖縄南西諸島の人々は、より強く縄文人の特徴を受け継いでいると考えられている。」と結ばれている。アイヌの人々は縄文時代には日本列島にいなかった可能性の高い民族であるが、絶対に縄文人でないとは言い切れないので、まあ良いこととする。

va1907-002舟に乗ってa.jpg

イラスト:堂野こむすい va1907-002 『舟に乗って』