毘舎離城(びさりぢやう)に住(ぢう)せりし、浄名居士の御室(みむろ)には、三萬二千の床(ゆか)立てて、それにぞや、十万の仏は居たまひし。
-- 梁塵秘抄 221 --
KOMUSUI ICHIZA KAMISHIBAI
毘舎離城(びさりぢやう)に住(ぢう)せりし、浄名居士の御室(みむろ)には、三萬二千の床(ゆか)立てて、それにぞや、十万の仏は居たまひし。
-- 梁塵秘抄 221 --
鷲(わし)のおこなふ深山(みやま)より、聖徳太子ぞ出(い)でたまふ、鹿(かせぎ)が苑(その)なる岩屋(いはや)より、四果の聖(ひじり)ぞ出(い)でたまふ。
-- 梁塵秘抄 220--
摩掲陀国(まかだこく)の王(わう)の子に、おはせし悉達(すだち)太子こそ、檀特山(だんどくせん)の中山に、六年行(おこな)ひたまひしか。
-- 梁塵秘抄 219 --
摩耶(まや)の胎(なか)より生(むま)れ出(で)て、宝の蓮足(はちすあし)をうけ、十万七度(ななたび)歩みつつ、四句の偈(げ)をぞ説(と)いたまふ。
-- 梁塵秘抄 218 --
浄飯王(わう)箒(ははき)を持ち、耆闍崛山(せん)には聖者(そうざ)居(お)りとかやな、五台山の深(ふか)きより、一乗となつて出(い)でたまふ。
-- 梁塵秘抄 216 --
獅子や王(わう)のよそのひは、伝法輪をぞ歓とする、たうやはたうのすとして、身(み)を分(わ)け仏土に近(ちか)かりき。
-- 梁塵秘抄 216 --
もとこれ祇陀(ぎだ)は太子の地、須達黄金(こがね)を地に敷きて、仏(ほとけ)の御為(みため)に買(か)ひ取(と)りて、始めて精舎となししなり。
-- 梁塵秘抄 215 --
毘盧(びる)の身土(しんど)のいやしきを、凡下の一念こえずとか、阿鼻(あび)の依正(えしやう)の卑(いや)しきも、聖(ひじり)の心に任(まか)せたり。
-- 梁塵秘抄 214 --
天台宗の畏(かしこ)さは、般若や華厳(けごん)摩訶止観(まかしかん)、玄義(げんぎ)釈籤(しゃくせん)倶舎(くしゃ)頌疏(ずんぞ)、法華経八巻(やまき)が其の論議(ろむぎ)。
-- 梁塵秘抄 213 --
その程(ほど)東西十里なり、南北(なむぼく)七百由旬なり、水竹(すいちく)花樹(ぞ)は悉(ことごと)く、荘厳浄土に異ならず。
-- 梁塵秘抄 212 --
有漏(うろ)の此の身を捨てうてて、無漏(むろ)の身にこそならむずれ、阿弥陀仏(ほとけ)の誓(ちかひ)あれば、弥陀に近づきぬるぞかし。
-- 梁塵秘抄 211 --
生死の大海辺(ほとり)無し、仏性真如岸(きし)遠(とを)し、妙法蓮華は船筏(ふねいかだ)、来世(らいせ)の衆生済(わた)すべし。
-- 梁塵秘抄 210 --
太子の身投げし夕暮(ゆふぐれ)れに、衣はかけてき竹の葉に、王子(わうじ)の宮(みや)を出(い)でしより、沓(くつ)はあれども主(ぬし)もなし。
-- 梁塵秘抄 208 --
龍女は仏に成りにけり、などか我等もならざらん、五障の雲こそ厚くとも、如来月輪隠されじ。
-- 梁塵秘抄 208 --
太子(たいし)の御幸(みゆき)には、犍陟駒(こんでいこま)に乗りたまひ、車匿(しやのく)舎人(とねり)に口とらせ、檀特山(だんとくせん)にぞ入(い)りたまふ。
-- 梁塵秘抄 207 --
忉利(たうり)の都(みやこ)の鶯(うぐひす)は、塒(とぐち)定(さだ)めでさぞ遊(あそ)ぶ、浄土の植木(うゑき)となりぬれば、花咲き実なるぞあはれなる。
-- 梁塵秘抄 206 --
忉利(たうり)の都(みやこ)は、歓喜の御名(みな)をぞ唱ふなる、五台山(ごだいさん)には文殊こそ、六時に華をば散(さむ)ずなれ。
-- 梁塵秘抄 205 --
忉利(たうり)は尊(たうと)き処(ところ)なり、善法堂(だう)には未申(ひつじさる)、圓生樹より丑寅(うしとら)に、中には喜見(きげん)の城(じやう)立てり。
-- 梁塵秘抄 204 --
摩犂山(まれいさん)のこねにこそ、かうふてゐる蒔(ま)き置(お)きし、僧伽(そうぎや)の種(たね)に生(お)いにけり、やうれう香(かう)とぞ匂(にほ)ふなる。
-- 梁塵秘抄 203 --
摩犂山(まれいさん)に生(お)ふといふ、牛頭(ごづ)や栴檀(せんだん)得てしがな、手に取り身に触れ香(か)をかげば、生身の罪障(ざいさう)解(と)けぬべし。
-- 梁塵秘抄 202 --